JAPONisme Vol.5 – 2015年春
2015年4月1日発行 第5号
CONTENTS
- 宇崎竜童インタビュー「ジャポニスムを語る」
- 京(みやこ)の人形 島田耕園の御所人形
- 京(みやこ)の人形 關原紫水・關原紫光
- 親鸞賞座談会 和田竜氏(平成26年第8回親鸞賞受賞)とジャポニスム振興会会長他
- 暮らしの中のワンポイント「愚癡」
今号の試し読み:京(みやこ)の人形 島田耕園の御所人形
ふっくらした頬に気高くもやさしい面差し。島田耕園の人形は、現世(うつしよ)の気配遠く、やわやわとほほえむ。それもそのはず、この人形たちは、都に住まう妖精たちなのである。
そもそも御所人形は、「健やかに育て」との祈りを込めて、天皇が親王や皇女たちに正月に贈ったもの。
桐塑(とうそ)や陶胎(とうたい)の上に胡粉を塗り重ねた技法の、稚児の姿をとる人形だ。多くは三頭身であるが、耕園の人形は三・五頭身が多い。
「頭が大きいとかわいいけれど、人形としてなにかを伝えるには、三・五頭身くらいがいいかなと」
「デフォルメを重ね、最低限のパーツで子供のピュアさ、世の中への思いを見せたい」
耕園は様式美という一種の縛りの中で展開する表現を「決まり事の中の自由」と言う。氏の仕事を紹介しつつ、人形という、日本の伝統工芸の粋をご覧いただこう。
言霊(ことだま)
言葉の力を表す。言葉の小宇宙から出た妖精である。かつて、発した言葉は形になると信じられた時代があった。よい言葉はよい生き方に通じる。そんな作者の思いが形になった、ふっくらと穏やかな面差しが人を引きつける。不思議な吸引力を持つ人形である。
月影
法然上人の和歌に「月影の いたらぬ里はなけれども ながむる人の 心にぞすむ」(月の光はあらゆる里を照らすが、月の美しさを知ることが出来るのは、見上げて眺める人)というのがある。この味わいは、阿弥陀仏の慈悲の光は無限であり、その慈悲に身をゆだねるところに救いがあるというものである。
そこから名づけられた「月影」を、耕園は東日本大震災の翌年に作った。被災した人々に、「阿弥陀仏の慈悲はあまねくあるからがんばって」との満身の願いを込めた作品である。伝統工芸人形展で受賞をした。
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