JAPONisme Vol.6 – 2015年夏
2015年7月1日発行 第6号
CONTENTS
- 江戸のクール。切子の美「江戸切子-その歴史と変遷-」
- 切子の今を伝統の技で彫る。華硝
- 萬屋親子対談「父から子に伝える伝統芸能」
- クールジャパン 日本人の智恵 in パリ 2日間
- 和敬清寂-夏は涼しく(アグリアート・フェスティバル2015のお知らせ)
- 能の来た道、日本のゆく道 巻二
- 暮らしの中のワンポイント「金剛」
今号の試し読み:切子の今を伝統の技で彫る。華硝
「うちのガラスは日本一、いや世界一だと思います」
自信に満ちた言葉である。むろん、その自信には根拠がある。
切子の仕上げには二通りある。
「手みがき」と「酸みがき」だ。
「酸みがき」は硫酸、フッ化水素などの劇薬で仕上げをする量産品である。対して「手みがき」は、たわしなどを使い、手でたんねんに仕上げる。薬品では消えてしまう、精細で鋭利な柄がくっきりと浮かび、かつ丈夫である。また、ハーフカットという浅い彫りも加えることができ、よりニュアンスのある紋様が生まれる。
「手で仕上げるから切子なんです」
「切子は手仕事の誇りです」
「技術は何十年もかけないとできません」
そう述べる華硝は、次世代の育成にも力を入れ、工房には若い職人さんたちの熱気があふれている。
江戸切子の伝統を守りつつ、新たな芸術性を求める華硝の切子。日本にはまだまだ職人の心意気があるじゃないか。美し国(うましくに)日本。そんなことを思わせる、きらめきに満ちた下町の昼下りだった。
華硝のこだわりはもう一つある。それは鉛を使わないことだ。製造工程で鉛を加えたガラスがご存知クリスタルガラスで、鉛含有量が多いほど透明度が上がり、水晶(クリスタル)のような輝きが産まれることからこの名前がある。
しかし、鉛の有毒性から、EUでは一部製品に関して、使用禁止の動きがあり、クリスタルガラスは製造されなくなっている(しかしながら、ガラスから鉛が溶け出すとは考えにくく、人体への影響の可能性は低いといわれる)。
デザイン性、伝統技術へのこだわり、先進的な取り組み……。積極的な姿勢が生み出す華硝の華麗なガラスは、国賓への贈答品にもなっている。
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